簿記3級後半が終わったので整理がてら記事を書いてみる

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xainome

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簿記3級後半

まず簿記3級の前半から時間が経ちましたが、後半が終わったのでこちらも記事にしてみようと思います。具体的には無料のCPAラーニングを活用しました。

ざっくりと前回までで大体の流れを学びました。まずは取引から主要簿を記載した後、B/SとP/Lを記載していきます。次に主要簿には仕訳帳と総勘定元帳があり、仕訳帳に記載した後総勘定元帳へ転記していく作業を行いました。

簿記3級後半_補助記入帳

簿記3級後半では主要簿とは別に補助簿が存在します。具体的にこちらは内部で管理する帳簿で、より詳細な記録を行います。補助簿には大まかに補助記入帳補助元帳があります。

  • 補助記入帳:特定の勘定科目で記録をする補助簿
    • 現金出納帳、当座預金出納帳、小口現金出納帳、受取手形記入帳、支払手形記入帳、売上帳、仕入帳など
  • 補助元帳:特定の勘定科目で取引債や品目を記録する補助簿
    • 売掛金(得意先)元帳、買掛金(仕入先)元帳、商品有高帳、固定資産台帳など

現金出納帳、当座預金出納帳、小口現金出納帳に関しては書かれている取引に対して帳簿に記載できるか?収支計算や摘要は適切か?というとこですね。

受取手形仕訳帳や支払手形仕訳帳は書いている帳簿から仕訳を行えるようにしましょう。売上帳、仕訳帳は金額や内訳の計算と仕訳までできれば十分だと思います。記号もありますが2つなので覚えちゃいましょう。

簿記3級後半_補助元帳

売掛金(得意先)元帳や買掛金(仕入先)元帳は取引から可能であれば仕訳後、帳簿に転記する流れですね。

商品有高帳は売上高、売上原価、売上総利益を記入します。ただし、先入先出法と移動平均法の2種類があります。これは仕入れの場所により値段が変わるので値段が変わることの記入方法になります。

例えば先入先出法は7/1にA社から単価100円×10個、7/2B社から単価120円×10個仕入した後、7/5に15個売り上げたとします。その時先に仕入れたA社の10個分と残りB社の5個分と考えて金額の記入をする方法です。売り上げ金額は100×10 + 120×5 = 1,600

一方で移動平均法は上記と同じ状況だった場合、単価を(100×10 + 120×10) ÷ 20 = 110円と考えます。そこから15個分の売上が出たのでその金額を記入します。売り上げ金額は110 × 15 = 1,650

以下に例を出してみます。

現金出納帳

  • 9/19 A社に現金500円で商品を売り上げた
  • 9/25 通信費を現金300円で支払った
摘要収入支出残高
91前月繰越1,0001,000
19A社売上5001,500
25通信費支払3001,200
30次月繰り越し1,200
1,5001,500
現金出納帳

当座預金出納帳

  • 2/2 A社から売掛金500円が当座預金口座に振り込まれた
  • 2/5 B社へ買掛金600円を支払うために小切手(番号315)を振り出した
摘要番号預入引出借/貸残高
21前月繰越3,0003,000
2A社売掛金回収5003,500
5B社買掛金支払3156002,900
当座預金出納帳

小口現金出納帳

受入摘要支払通信費交通費消耗品費
10,00031補給
2電話料金3,0003,000
3タクシー代1,7001,700
3文房具代2,5002,500
5電車賃900900
合計8,1003,0002,6002,500
5次週繰越1,900
1,90038前週繰越
8,1008補給
小口現金出納帳

受取・支払手形記入帳

  • 書かれている内容を仕分けする
種類番号摘要支払人振出人振出月振出日満期月満期日支払場金額顛末月顛末日顛末
64約手7売上B社B社6474Y銀行8,00074当座入金
受取手形記入帳
種類番号摘要受取人振出人振出月振出日満期月満期日支払場金額顛末月顛末日顛末
710約手20買掛金C社当社710910Z銀行7,000910当座決済
支払手形記入帳
日付借方科目金額貸方科目金額
6/4受取手形8,000売上8,000
7/4当座預金8,000受取手形8,000
7/10買掛金7,000支払手形7,000
9/10支払手形7,000当座預金7,000
仕訳

売上帳

  • 売上帳(@は単価、△はマイナス表記)の空欄埋めor書かれている内容を仕訳けすることもある
摘要内訳金額
87A社 掛け
商品甲 5個 @1,000円5,000
商品甲 3個 @2,000円6,00011,000
11A社 掛け返品
商品甲 2個 @1,000円△2,000
31総売上高11,000
売上戻り高△2,000
純売上高9,000
売上帳
日付借方科目金額貸方科目金額
8/7売掛金11,000売上11,000
8/11売上2,000売掛金2,000
仕訳

仕入帳

  • 仕入帳(@は単価、△はマイナス表記)の空欄埋めor書かれている内容を仕分けすることもある
摘要内訳金額
410A社 掛け
Z商品 60個 @800円48,000
引取費用現金払い 450円45048,450
15B社 掛け
Y商品 10個 @700円7,0007,000
20B社 掛け返品
Y商品 2個 @700円△1,400
30総仕入高55,450
30仕入戻し高△1,400
30純仕入高54,050
仕入帳
日付借方科目金額貸方科目金額
4/10仕入48,450買掛金48,000
現金450
4/15仕入7,000買掛金7,000
4/20買掛金1,400仕入1,400
仕訳

売掛金(得意先)元帳

  • 仕分けから元帳に転記する
    • 7/2 A社へ掛け売上5,000円   
    • 7/15 B社へ掛け売上4,300円   
    • 7/18 A社売掛金の現金回収3,800円
    • 7/23 B社売掛金の現金回収2,200円
日付借方科目金額貸方科目金額
7/2売掛金(A社)5,000売上5,000
7/15売掛金(B社)4,300売上4,300
7/18現金3,800売掛金(A社)3,800
7/23現金2,200売掛金(B社)2,200
仕訳
日付売掛金増金額日付売掛金減金額
7/1前月繰越3,6007/18現金3,800
7/2売上5,0007/31次月繰越4,800
8,6008,600
A社_得意先元帳
日付売掛金増金額日付売掛金減金額
7/1前月繰越2,0007/23現金2,200
7/15売上4,3007/31次月繰越4,100
6,3006,300
B社_得意先元帳

買掛金(仕入先)元帳

  • 仕分けから元帳に転記する
    • 9/10 C社から掛け仕入3,000円
    • 9/18 D社から掛け仕入3,300円
    • 9/19 C社買掛金の現金支払2,800円
    • 9/26 D社買掛金の現金支払4,500円
日付借方科目金額貸方科目金額
9/10仕入3,000買掛金(C社)3,000
9/18仕入3,300買掛金(D社)3,300
9/19買掛金(C社)2,800現金2,800
9/26買掛金(D社)4,500現金4,500
仕訳
日付買掛金減金額日付買掛金増金額
9/10現金2,8009/1前月繰越1,000
9/30次月繰越1,2009/19仕入3,000
4,0004,000
C社_仕入先元帳
日付買掛金減金額日付買掛金増金額
9/18現金4,5009/1前月繰越2,300
9/30次月繰越1,1009/26仕入3,300
5,6005,600
D社_仕入先元帳

商品有高帳

4/1  前月繰越  20個 @100円    
4/8  仕  入 180個 @110円
4/15 売  上 160個 @200円(売価)    
4/22 仕  入 280個 @101円
4/26 売  上 300個 @210円(売価)
売上高:160*200+300*210 = 95,000円
売上原価(先入先出法):2000(月初在庫) + 180*110+280*101 - 2020(月末在庫) = 48,060
売上原価(移動平均法):2000(月初在庫) + 180*110+280*101 - 2040(月末在庫) = 48,040
売上総利益(先入先出法):95,000 - 48,060 = 46,940
売上総利益(移動平均法):95,000 - 48,040 = 46,960
  • 先入先出法
日付摘要受入_数量受入_単価受入_金額払出_数量払出_単価払出_金額残高_数量残高_単価残高_金額
4/1前月繰越201002000201002000
4/8仕入18011019,800201002000
18011019,800
4/15売上201002000
14011015,400401104,400
4/22仕入28010128,280401104,400
28010128,280
4/26売上401104,400
26010126,260201012,020
4/30次月繰越201012,020
48050,08048050,080
  • 移動平均法
    • 仕入時はまず残高を算出した後、残高 ÷ 数量 = 単価を算出する
日付摘要受入_数量受入_単価受入_金額払出_数量払出_単価払出_金額残高_数量残高_単価残高_金額
4/1前月繰越201002000201002000
4/8仕入18011019,80020010921,800
4/15売上16010917,440401094,360
4/22仕入28010128,28032010232,640
4/26売上30010230,600201022,040
4/30次月繰越201022,040
48050,08048050,080

伝票

  • 仕訳帳より少ない手間で取引を記録する
    • 入金伝票:現金増加した場合の相手勘定と金額を記載
      • 売掛金12,000円を現金で回収した
    • 出金伝票:現金減少した場合の相手勘定と金額を記載
      • 商品を10,000円で仕入れ、現金で支払った
    • 振替伝票:その他(現金勘定がない場合)
      • 商品20,500円を掛け仕入れした
科目金額
売掛金12,000
入金伝票
科目金額
仕入10,000
出金伝票
借方科目金額貸方科目金額
仕入20,500買掛金20,500
振替伝票

一部現金取引について

  • 一部が現金取引の場合は取引を分割する方法と取引を擬制する方法があります。
    • 取引を分割:先に現金の取引を行った後、残りの金額を別の勘定で起票する
    • 取引を擬制:現金を使用しない勘定で全額取引をした後、一部を現金で決済したことにして起票する。
      • 例:商品を12,000円で販売し、代金のうち9,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。

取引を分割する方法

科目金額
売上9,000
入金伝票
借方科目金額貸方科目金額
売掛金3,000売上3,000
振替伝票

取引を擬制する方法

科目金額
売上9,000
入金伝票
借方科目金額貸方科目金額
売掛金12,000売上12,000
振替伝票
  • 総勘定元帳への転記:伝票から毎回個別転記をするのは大変なので1日分を仕訳日計表に転記し、総勘定元帳へ合計転記する。
科目金額
売上1,800
科目金額
売掛金2,100
科目金額
売上1,500
科目金額
仕入900
科目金額
仕入2,700
科目金額
発送費1,300
借方科目金額貸方科目金額
売掛金2,000売上2,000
借方合計元丁勘定科目元丁貸方合計
5,400現金4,900
2,000売掛金2,100
売上5,300
3,600仕入
1,300発送費
12,30012,300
仕訳日計表
摘要仕丁借方貸方借/貸残高
51前月繰越4,0004,000
51仕訳日計表5,4009,400
51仕訳日計表4,9004,500
総勘定元帳

簿記3級後半_決算

簿記3級後半では決算を行います。以下の流れですね。

  1. 決算整理前残高試算表(前T/B)の作成
    • 期中手続きでミスが起きてないか確認するため試算表の作成
  2. 決算整理
    • 決算整理仕訳を行って勘定の残高金額を修正する
    • 勘定科目によっては財務諸表計上額にならないものがあるため、その修正を行う
  3. 決算整理後残高試算表(後T/B)の作成
    • 決算整理でミスが起きてないか確認するための試算表の作成
  4. 帳簿の締め切り
    • 当期と翌期の区切りをつける
  5. 財務諸表の作成
    • P/Lは勘定残高を翌期に繰り越さない
    • B/Sは勘定残高を翌期に繰り越す

簿記3級後半_決算振替仕訳

総勘定元帳の穴埋めを行い、決算振替仕訳を行う。決算振替仕訳は以下の流れ

  1. 収益の振り替え
  2. 費用の振り替え
  3. 当期純損益の振り替え
4/1前期繰越2,4005,800
3,0002,600
6,3003/31次期繰越3,800
11,70011,700
4/1前期繰越3,800
現金
9004/1前期繰越1,200
5,8004,100
3/31次期繰越1,6003,000
8,3008,300
4/1前期繰越1,600
買掛金
3/31次期繰越4004/1前期繰越400
4/1前期繰越400
資本金
3/31次期繰越1,3004/1前期繰越800
3/31損益500
1,3001,300
4/1前期繰越1,300
繰越利益剰余金
3/31損益9,3003,000
6,300
9,3009,300
売上
4,100900
3,0003/3損益6,200
7,1007,100
仕入
2,6003/31損益2,600
給料
3/31仕入6,2003/31売上9,300
3/31給料2,600
3/31繰越利益剰余金500
9,3009,300
損益
番号借方科目金額貸方科目金額
1売上9,300損益9,300
2損益8,800仕入6,200
給料2,600
3損益500繰越利益剰余金500

決算整理仕訳を行う際以下の項目を行います。

簿記3級後半_決算整理仕訳項目

  1. 減価償却:土地以外の固定資産は使用または時間経過で減価(価値が減少)していく。これは適正な利益を計算するために使用される。「費用収益対応の原則」
    • 減価償却累計額:減価償却による固定資産の減少額を意味する評価勘定
    • 減価償却費:固定資産の価値減少額
    • 取得原価:固定資産取得で支出した金額。購入代価+付随費用
    • 耐用年数:固定資産の利用可能年数
    • 残存価額:耐用年数到来時の見積売却額
    • 帳簿価額:取得原価から減価償却累計額を控除した金額
  2. 貸倒引当金:売上債権の貸倒見積高を意味する評価額
    • 貸倒引当金繰入:翌期に見込まれる貸倒損失を当期に計上した額
  3. 売上原価:前T/Bでは仕入として計上していたが、P/L作成時は売上原価として計上する。
    • 繰越商品:会社が期末に保有する商品の在庫
    • 期首商品棚卸高:期首在庫のこと
    • 期末商品棚卸高:期末在庫のこと
  4. 経過勘定:前払費用、前受収益、未収収益、未払費用の総称
    • 前払費用:翌期分の役務を当期に前払いした時、役務の提供を受ける権利
    • 前受収益:翌期分の役務を当期に前受した時、役務の提供を提供する義務
    • 未収収益:当期分の役務の対価が未収である場合、代金を受け取る権利
    • 未払費用:当期分の役務の対価が未払いである場合、代金を支払う義務
  5. 現金過不足
    • 雑益:原因不明の現金超過額による収益
    • 雑損:原因不明の現金超過額による費用
  6. 貯蔵品:未使用の郵便切手や収入印紙など一時的に保有している資産
  7. 当座借越:当座借越により生じた銀行への支払義務

減価償却

減価償却額を求める際は定額法を用いて求める。当期首で購入した場合は下記の計算で問題ないが、期中で購入した場合は月割計算をしなければならないことに注意。下記の計算式に使用月数 / 12か月を掛けて計算する。日数は1日でも28日でも使用期間はその月からカウントする。

毎期の減価償却額 = (取得原価 - 残存価額) ÷ 耐用年数

減価償却は当期首に取得した場合と前期以前に取得した場合が考えられる。また減価償却累計額を勘定科目として使う場合は間接法と言われる。直説法もあるが3級では間接法しか出ないみたいなので割愛します。

減価償却_計算例

決算がX6年3月31とする。

  • 建物はX2年4月1日に取得、定額法で耐用年数8年、残存価値は0で間接法を使用
    • 毎期減価償却費 = (640,000 – 0) / 8 = 80,000
    • 前T/Bの建物減価償却累計額は240,000なので3年分
  • 備品はX6年1月1日に取得、定額法で耐用年数5年、残存価値は0で間接法を使用
    • 毎期減価償却費 = (210,000 – 0) / 5 * 3/12 = 10,500
借方残高勘定科目貸方残高
640,000建物
210,000備品
建物減価償却累計額240,000
前T/B
日付借方科目金額貸方科目金額
3/31減価償却費80,000建物減価償却累計額80,000
3/31減価償却費10,500備品減価償却累計額10,500
仕訳表
借方残高勘定科目貸方残高
640,000建物
210,000備品
建物減価償却累計額320,000
備品減価償却累計額10,500
90,500減価償却費
後T/B
建物640,000
減価償却累計額△320,000320,000
備品210,000
減価償却累計額△10,500199,500
B/S
減価償却費90,500
P/L

固定資産の売却

固定資産の売却する際も減価償却を考えなければならない。売却した場合は固定資産の減少と減価償却累計額も減少させる。固定資産売却益は売却した時、利益がプラスになった場合の勘定科目。固定資産売却損は売却した時、利益がマイナスになった場合の勘定科目。

固定資産売却損益 = 売却価額 - 帳簿価額
  1.  車両(取得原価1,500,000円、減価償却累計額500,000円)を1,250,000円で売却し、代金は翌月末に受け取ることにした。
  2. 備品(取得原価5,400,000円、減価償却累計額 ? 円)を3,100,000円で売却し小切手を受け取った。なお、備品の減価償却は、定額法、残存価額は取得原価の10%、耐用年数10年で行っており、取得してから売却するまでに4年経過している。
    • 毎期の減価償却費:(5,400,000 – 540,000) / 10 = 486,000
    • 減価償却累計額:486,000 * 4 = 1,944,000
番号借方残高金額貸方残高金額
1未収入金1,250,000車両1,500,000
減価償却累計額500,000固定資産売却益250,000
2減価償却累計額1,944,000備品5,400,000
現金3,100,000
固定資産売却損356,000

貸倒引当金

貸倒引当金繰入については以下の計算式を使用する。

貸倒見積高 = 売上債権の期末残高(売掛金など) × 実績率
貸倒引当金繰入 = 貸倒見積高 - 貸倒引当金の決算整理前残高

当期で貸倒れが発生した場合は貸倒損失として計上する。翌期になり貸倒れが発生した場合は前期の決算で設定した貸倒引当金より額が大きいか小さいかで変わる。

例:前期分の売掛金160円の貸倒れが生じた。前期に貸倒引当金200円を設定していた。

借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金160売掛金160

例:前期分の売掛金260円の貸倒れが生じた。前期に貸倒引当金200円を設定していた。

借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金200売掛金260
貸倒損失60

前提として前期に貸倒引当金6,300円を設定している。

  1. 得意先A社に対する前期販売分の売掛金3,800円が貸し倒れた。
  2. 得意先B社に対する当期販売分の売掛金1,900円が貸し倒れた。
  3. 得意先C社に対する前期販売分の受取手形2,600円が貸し倒れた。
番号借方科目金額貸方科目金額
1貸倒引当金3,800売掛金3,800
2貸倒損失1,900売掛金1,900
3貸倒引当金2,500受取手形2,600
貸倒損失100

補足と貸倒引当金繰入

決算整理前に貸倒引当金の残高が存在する場合がある。見積高分まで補充する計算式は以下。補充分がマイナスになった場合は貸倒引当金戻入として計上する。

貸倒引当金繰入 = 貸倒見積高 -  貸倒引当金の決算整理前残高

例:期末売上債権残高の3%を貸倒見積高として差額補充法により貸倒引当金を設定する。

借方残高勘定科目貸方残高
400,000売掛金
貸倒引当金2,000
前T/B
日付借方科目金額貸方科目金額
3/31貸倒引当金12,000貸倒引当金繰入12,000
仕訳表
売掛金400,000
貸倒引当金△12,000388,000
B/S
貸倒引当金繰入10,000
P/L

売上原価

売上原価は仕入高に期首在庫を加算、期末在庫を減額することで算定する。

売上原価 = 当期商品仕入高 + 期首商品棚卸高 – 期末商品棚卸高

決算仕訳をするときは期首在庫(繰越商品)を仕入に振替、売上の差分で残った仕入を期末在庫(繰越商品)に振り返る。振り返るときは個数で調整を行う。

財務諸表を作成するときは表示科目を使用する。基本的には勘定科目と表示科目が一緒だが、一部異なるものが存在する。仕入↔売上原価はわかりにくいので注意。

勘定科目表示科目
資産繰越商品商品
収益売上売上高
費用仕入売上原価

期末商品棚卸高は8,500円

借方残高勘定科目貸方残高
10,000繰越商品
売上230,000
114,000仕入
前T/B
日付借方科目金額貸方科目金額
3/31仕入10,000繰越商品10,000
3/31繰越商品8,500仕入8,500
仕訳表_パターン1
日付借方科目金額貸方科目金額
3/31売上原価114,000仕入114,000
3/31売上原価10,000繰越商品10,000
3/31繰越商品8,500売上原価8,500
仕訳表_パターン2
借方残高勘定科目貸方残高
8,500繰越商品
売上230,000
115,500仕入(売上原価)
後T/B
商品8,500
B/S
売上原価115,500売上高230,000
P/L

前払費用

例:決算日(X6年3月31日)、保険料はX5年11月1日に1年分を前払いした際に計上

借方残高勘定科目貸方残高
531,000保険料
前T/B
日付借方科目金額貸方科目金額
3/31前払保険料309,750保険料309,750
決算整理仕訳表
借方残高勘定科目貸方残高
309,750前払保険料
221,250保険料
後T/B
日付借方科目金額貸方科目金額
4/1保険料309,750前払保険料309,750
翌期再振替仕訳

未収収益

例:決算日(X6年9月30日)、貸付金はX6年6月1日に貸し付けたものであり、利率:年7.3%、利払日:年1回(5月末)、貸付期間1年間である。なお、当期経過分の利息は1年を365日とする日割計算により算定する

借方残高勘定科目貸方残高
180,000貸付金
前T/B
日付借方科目金額貸方科目金額
9/30未収利息4,392受取利息4,392
決算整理仕訳
借方残高勘定科目貸方残高
180,000貸付金
4,392未収利息
受取利息4,392
後T/B
日付借方科目金額貸方科目金額
10/1受取利息4,392未収利息4,392
翌期再振替仕訳

下記の項目を用いて賃貸貸借表(B/S)を作りましょう

前払家賃13,100未払家賃12,300未収利息50,300未払利息65,000
前受地代5,400前払利息33,200未払保険料7,800未収地代10,000
前払費用46,300前受収益5,400
未収収益60,300未払費用85,100

簿記3級後半の現金過不足

現金過不足が存在することがある。簿記3級後半ではパターンとしては以下が考えられる。

  • 期中で現金過不足が生じ、決算日まで判明しなかった場合
  • 決算日に現金過不足が生じ、原因が判明しなかった場合

決算日(X2年3月31日)となったため、決算整理手続きを行う。現金過不足5,200円の原因を調査したが原因は判明しなかった。

借方残高勘定科目貸方残高
5,200現金過不足
前T/B
日付借方科目金額貸方科目金額
3/31雑損5,200現金過不足5,200
決算整理仕訳
借方残高勘定科目貸方残高
5,200雑損
後T/B

決算日(X2年3月31日)で、決算日における現金実査額は225,000円であった。現金超過額のうち、10,000円は売掛金の回収が未処理だったことが判明したが、残額は原因不明である。

借方残高勘定科目貸方残高
200,000現金
70,000売掛金
前T/B
日付借方科目金額貸方科目金額
3/31現金25,000売掛金10,000
雑益15,000
決算整理仕訳
借方残高勘定科目貸方残高
225,000現金
60,000売掛金
雑益15,000
後T/B

貯蔵品

未使用の郵便切手や収入印紙など一時的に保有している資産

郵便切手や収入印紙の購入は費用の発生となるが、P/Lでは使用した金額のみとする。そのため、未使用の分は決算時に「貯蔵品」勘定として振替を行う。ただし、翌期になった場合は再振替仕訳を行う。

決算日(X2年3月31日)で、租税公課は当期に購入した収入印紙を処理したものであり、このうち当期に使用したのは13,000円分である。

借方残高勘定科目貸方残高
15,000租税公課
前T/B
日付借方科目金額貸方科目金額
3/31貯蔵品2,000租税公課2,000
決算整理仕訳
借方残高勘定科目貸方残高
13,000租税公課
2,000貯蔵品
後T/B

当座借越

当座借越により生じた銀行への支払義務

当座借越契約を結んでる場合、当座預金残高を超えた引き出しを行うと「当座預金」勘定は貸方残高となります。この状態で決算日を迎えた場合の決算整理が必要になります。

考え方としては当座残高を増やすことで資産を増やし、「当座預金」勘定の残高をゼロにする。それと同時に当座借越の貸方残高を増やし、負債の増加とする。

決算日(X2年3月31日)で、当社は当座借越契約(借越限度額25,000円)を結んでおり、当期
末において、当座借越9,000円が生じている。

借方残高勘定科目貸方残高
当座預金9,000
前T/B
日付借方科目金額貸方科目金額
3/31当座預金9,000当座借越9,000
決算整理仕訳
借方残高勘定科目貸方残高
当座借越9,000
後T/B

簿記3級後半精算表

簿記3級後半の決算整理の流れを一覧表にしたもの(前T/B→決算整理仕訳→後T/B)。

精算表は縦軸に勘定、横軸に前T/B、修正記入(決算整理仕訳)、B/SとP/Lをとります。更に各横軸では借方・貸方に分けて記入します。

精算表_計算例

  1. 建物の減価償却は定額法、耐用年数20年、残存価額ゼロ、間接法により行っている。
  2. 期末売掛金残高の2%を貸倒見積高として、差額補充法により貸倒引当金を設定する。
  3. 期末商品棚卸高は25,000円である。なお、売上原価は仕入の行で計算すること。
  4. 現金の期末実際有高は43,000円であった。なお、帳簿残高との差異は原因不明である。
試算表借方試算表貸方修正記入借方修正記入貸方P/L借方P/L貸方B/S借方B/S貸方
現金41,3001,70043,000
売掛金80,00080,000
繰越商品21,90025,00021,900
建物240,000240,000
土地170,100170,100
買掛金67,00067,000
貸倒引当金2001,4001,600
減価償却累計72,00012,00084,000
資本金100,000100,000
繰越利益剰余157,100157,100
売上522,000522,000
仕入365,00021,90025,000361,900
918,300 918,300
減価償却費12,00012,000
貸引引当繰入1,4001,400
雑益1,7001,700
当期純利益160,100
62,00062,000523,700523,700558,100558,100

月次決算

会計期間でも業績を把握したいために作成する。ただし、3級の場合は減価償却の月次決算のみ対象なので割愛する。計算式は以下。

月次の減価償却費 = 年間の減価償却費の見積額 ÷ 12
年度末に計上する減価償却費= 減価償却費の年間確定額- 月次決算で計上した減価償却費の合計額

増資

追加で株式を発行し資金を調達すること。勘定科目「資本金」が増加する。

利益剰余金の配当及び処分

配当は利益を株主に分配すること。処分は会社内に保留することまた利益準備金を積み立てること。

配当金 = 1株当たりの配当金 × 発行済み株式総数

配当金は決まってすぐ支払われるわけではなく一度「未払配当金」として計上される。支払い後この勘定を減少させる。配当金の相手勘定は繰越利益剰余金。

利益準備金は利益の内分配不能の金額になります。これは銀行などから借り入れした場合、倒産したが株主に分配し過ぎで利益が残っておらず、銀行が不利益を被らないためにあります。勘定としては「利益準備金」として計上される。

  1. X2年6月20日に開催された定時株主総会において、繰越利益剰余金500,000円について、次のとおり利益剰余金の配当と処分が承認された。 配当金 100,000円  利益準備金 10,000円  繰越額 390,000円
  2. X2年7月10日に上記の配当金を当座預金から支払った。
日付借方科目金額貸方科目金額
6/20繰越利益剰余金110,000未払配当金100,000
利益準備金10,000
7/10未払配当金100,000当座預金100,000
6/20未払配当金100,0004/1繰越利益剰余金500,000
利益準備金10,000
繰越利益剰余金

法人税等

法人税等(法人税、住民税及び事業税)は利益に対して課される税金。以下の計算式で算定する。

法人税等 = 税引前当期純利益 × 税率(一般的には30%~40%)

法人税等は中間報告と確定申告の2回に分けて納付する。中間報告の際は金額が未確定なので「仮払法人税等」として計上する。また確定申告時、仮払法人税等で足りない場合は未払法人税等で計上し、確定申告で納付する。

借方残高勘定項目貸方残高
400,000仮払法人税等
1.前T/B

2.決算日(X2年3月31日)、当期の決算にあたり、法人税等の税額が820,000円と確定した。

日付借方科目金額貸方科目金額
3/31法人税等820,000仮払法人税等400,000
未払法人税等420,000
借方残高勘定項目貸方残高
未払法人税等400,000
820,000法人税等
後T/B

消費税

消費税は会社にも関係する。仕入れた場合には支払う必要があるし、販売した場合は消費税を受け取ることになる。ただ、販売した時に受け取った消費税から仕入れたときに支払った消費税の差分を納付するだけでよい。

消費税の納付額 = 消費税の受取額 - 消費税の支払額

例:仕入先から1000円で仕入れ、消費税は100円だった。これを3000円で販売し、さらに消費税300円を受け取った。この場合は300円受け取って100円支払ったので納付する消費税は200円となる。

仕入時に消費税を支払った場合、仮払消費税として計上する。販売で消費税を受け取った場合、仮受消費税として計上する。決算時は仮受消費税から仮払消費税の差分を未払消費税として計上する。確定申告時、消費税の納付し未払消費税を減少させる。

消費税の計算例

  1. 商品250,000円(税抜価格)を仕入れ、消費税25,000円とともに代金は掛けとした。
  2. 商品を1,000,000円(税抜価格)で販売し、消費税100,000円とともに代金は掛けとした。
  3. 決算に際し、消費税の納付額が75,000円と確定した。
番号借方科目金額貸方科目金額
1仕入250,000買掛金275,000
仮払消費税25,000
2売掛金1,100,000売上1,000,000
仮受消費税100,000
期中仕訳
借方残高勘定項目貸方残高
25,000仮払消費税
仮受消費税100,000
前T/B
番号借方科目金額貸方科目金額
1仮受消費税100,000仮払消費税25,000
未払消費税75,000
決算整理仕訳
借方残高勘定項目貸方残高
未払消費税75,000
後T/B

証ひょう

取引の内容が記載された用紙。納品書、請求書、領収書やレシート、当座勘定照合表など

品名数量単価金額
紅茶(インド産)1002,000200,000
紅茶(スリランカ産)3001,800540,000
小 計740,000
手付金100,000
消費税74,000
合 計714,000
1.請求書

2.出張前に旅費交通費の概算額を10,000円渡し、不足分は現金で支払った。領収書で11,000円支払ったとする。

番号借方科目金額貸方科目金額
1仕入740,000買掛金714,000
仮払消費税74,000前払金100,000
2旅費交通費11,000仮払金10,000
現金1,000

簿記3級後半の終わり

簿記3級後半はこんなところですね。その後、本番までの間はネット試験したり、模擬試験集で対策したりして3級とってみようと思います。ただ、転職の資格としては2級のほうが良いかと思いますが、目標の区切りとしてですね。ではでは。

xainome

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